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久しぶりに会ったアジア系移民2世の友人と食事をしていた時のこと。
移民一世と二世の違いの話題になった時、「一世よりも二世のほうが苦労が多い」とその友人。
ちょっと待って、聞いたこともない言葉をゼロから覚え、わからないことだらけの社会で生計を立てていく苦労も相当よ・・、その必要がない二世のほうが苦労が多いってどういうこと?と違和感いっぱいで尋ねると、答えはこうだった。
「一世が直面する問題の大半はプラクティカルなこと。移住する前にある程度予測していたはずだし、彼らには母国で育んだ確固たるアイデンティティがある。その上れっきとした外国人だから、よそ者として扱われても納得がいく。だがここで生まれた二世はそうはいかない。オランダ人でもあるわけだが、家の中では両親の祖国の文化で暮らしている。それはオランダ文化とは全く異質で、時には相反する。常にダブルスタンダードで暮らし、自分はどちらの文化からもこぼれ落ちていると感じていた。そのため、アイデンティティは幹がないままに育った。子供の頃、社会の異質な存在として扱われた時には、その体験を自分自身にうまく説明することができず、無関心でいることを体得した。その一方で、属せ切れない社会に対して、いつか自分の立ち位置をはっきりと見せつけて見返してやるという、強い”仕返し”願望を育んできた」
頭脳明晰で才能豊かなその友人は、仕事でも成功している。
「運良く自分には、仕返し願望を社会的に認知された成功の糧にする手段があった。だが、もしも全うな仕事や活動に結びつくような特技や才能を持ち合わせていなかったとしたら、この強い願望をどんな形で発露していただろう・・・?」
程度の差こそあれ、二世にはアイデンティティの形成を複雑困難にする特有のメカニズムがあるというのが、その友人の体験に基づく持論だった。
個人の性格や能力、両親の経済状態や受け継がれた文化によって大きく左右するし、その要因の影響のほうが大きいかもしれないので、一束ねに語るのは危険。
だが、そんな力学の中で育ってきた人のずっしりと重い「生の言葉」は、私の目に映るこの多文化社会の景色を変えた。
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